予算管理と予実管理の違いは?目的・担当・社内への効果の違いを解説

【記事のポイント】 
・予算管理と予実管理は実務上は同じプロセスだが、強調する側面が「計画策定」か「実績突合」かで分岐
・手順は予算策定、実行、月次分析、着地見込策定、経営報告の5ステップ構成
・ ExcelとスプレッドシートはToolとして使えるが、規模拡大時は専用システムで業務効率化を図る選択肢

予算管理と予実管理という言葉は、経営管理に携わる方であれば、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。なかなか違いが捉えづらく、使い分けが難しいと思われる方も多いといわれています。この記事では、予算管理と予実管理の違いと目的や効果、手法といった事項を筆者の実経験を踏まえて説明します。

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予算管理と予実管理の違い

予算管理と予実管理はどちらも、期初に立てる予算と実績を比較し、差異を分析するという同じ定義で利用されることが多いです。一方で、何を強調するかという意味の違いがあります。

予算管理・予実管理とは?

予算管理・予実管理とは、期初に立てた数値計画に対して、実績の進捗を確認・差異を分析し、計画を達成するためのアクションを捻出するものです。なお、期初に立てる数値計画は、PL・BSなどの財務数値から単価・販売数・人員数などの非財務数値を含みます。

筆者はこれまで、予算管理や予実管理の課題解決を多くの会社で支援してきました。その経験として、1つの会社の中で、2つの言葉が両方使われることはほぼありませんでした。

確実に言えることとしては、どちらの言葉を利用しているケースも実態としてやっていることは同じだということです。

予算策定→実績突合→差異分析→着地見込策定→経営報告という流れは、変わりません。

このように、2つの言葉の意味合いは、実務で使われる時には違いがありません。

しかしながら、言葉が違うということは、そこには微妙な違いがあります。

筆者はこれを、強調したいことの違いという切り口で捉えています。

予算管理・予実管理の違いは強調したいこと

予算管理と予算管理は、実態としては同じ意味合いと説明しました。ここからは、その違いである「強調したいこと」を説明します。

予算管理が強調したいこと

予算管理という言葉が強調したいことは、「予算の策定」です。言葉上は、プロセスとして必須のはずの実績の突合のニュアンスが含まれません。これは、予算=計画をしっかり立てることを重要視する側面が強いからだと考えています。

そのため、予算管理という言葉を利用する会社には、ビジョナリーな会社が多いです。

しかしながら、予算/計画を策定することをいくら重視しているからと言って、予算/計画を策定して終わりだと意味はありません。

その予算/計画が計画通りに実行されているか確認する必要があります。そのため結果的に、予算管理は、実務上は実績の突合や差異分析も含むことになります。

予実管理が強調したいこと

予実管理という言葉が強調したいことは、「予算と実績の突合・分析」です。計画を立てることよりも立てた計画を着実に遂行していくことに重きを置いています。

そのため、予実管理という言葉を利用する会社には、目の前の現実の改善を第一に置く会社が多いです。

重視するポイントとしては、実績突合・分析ですが、実績突合をするためには、予算の策定は必須です。そのため、実態として予算管理と予実管理は同じ内容を指します。

予算管理・予実管理の目的・担当・効果

実態としては、同じ業務プロセスである予算管理・予実管理ですが、その目的や実務を担当する担当者・また効果はどういったものがあるのでしょうか。

予算管理・予実管理の目的

予算管理・予実管理の目的は、経営と現場双方の意思を反映した計画の進捗を確認し、PDCAサイクルを回し、事業を成長させることです。

予算管理・予実管理の第一プロセスは、予算の策定です。この予算策定のプロセスには、経営者と現場の意思が入ります。意思の無い計画は、達成できず、また形骸化してしまいます。このプロセスで、期間内に実現したいこと・そのために実施したいことを経営・現場間で擦り合わせることが非常に重要です。

そして、その後のプロセスで、期初に策定した意思が含まれる計画に対して、実績の進捗を追っていき、改善点を見つけアクションに落とし込んでいきます。

この意思を含んだPDCAサイクルである予算管理・予実管理が、事業成長を実現していき、ミッションの達成を通した企業価値を上げることに貢献していきます。

予算管理・予実管理の担当

予算管理・予実管理を担当する部署は、経営企画部門が多いです。会社によっては、実績データの管理をしている関係で、経理部門が実施していることもあります。

少数ですが、財務部で実施しているケースもあります。また、近年はFP&Aチームを立ち上げ、同チームで管理しているケースも多く見られます。

予算管理・予実管理の効果

予算管理・予実管理の代表的な効果には、組織の進むべき方向性の可視化・最適なリソース配分の実現・異変の検知という効果があります。

組織の進むべき方向性が、予算の策定のプロセスで可視化されることは大きな効果の一つです。これにより、従業員の一体感や目標に向かって動く動機づけになります。

また、予算管理・予実管理は最適なリソース配分の実現にも貢献します。計画の進捗を追っている中で、想定より効果が出ていない施策を可視化できます。その結果、よりリソースを投入すべき施策を選別し、リソースをシフトする経営判断の実現をサポートします。

最後に、異変の検知という効果もあります。計画と実績の乖離を把握することで、想定と違う事態を検知し、改善アクションを取りやすくなります。

予算管理・予実管理の手順

予算管理・予実管理の違いは強調したいことと説明しました。この章では、予算管理・予実管理をどのように実施するかを説明します。手順は、予算を策定する、予算を実行する、月次分析・評価する、着地見込を策定する、経営報告するの5ステップです。

予算を策定する

予算管理・予実管理の最初のステップは、期初の予算の策定です。予算を立てるときに大切なポイントは、経営者・現場双方の意思を織り込むことです。

予算を立てるときは、1年後や数年後にありたい姿を明確に描き、その姿を数値化します。

この時、経営者の意思だけでなく、現場の意思を織り込むことが非常に大切です。実行者である現場の意思が入っていない予算は、形骸化しがちです。

そのためには、トップダウンとボトムアップの擦り合わせを何度も繰り返すことが大切です。経営としてこうしたいと現場としてここまでならできる/やりたいを何度も擦り合わせ予算を確定していきます。

少し蛇足ですが、上場企業はIR的に100%の達成を目指す予算の策定が大切です。150%などの大幅な超過はNGです。こういった要素も場合によっては考える必要があります。

予算を実行する

予算を策定したら、予算を実行します。実行するためには、その予算を達成するための施策を具体的に進めていきます。どのような施策を実行し、結果はどうだったか細かく記録を取っておくことが大切です。

月次分析・評価する

予算管理・予実管理は月次で確認、分析を行います。財務数値の予算であれば、月次の財務会計が締まり次第、すぐに分析に入ります。

この時、差異が大きいものから分析していき、期ズレなのか永久差異なのかを分析します。場合によっては、現場に直接実施してもらうことが大切です。

分析した差異と差異要因から改善アクションの策定まで実施していきます。予算と実績に乖離が生じるのは珍しくはないですが、放置せず、改善案を出すことが大切です。

筆者の経験では、アクションの策定までやれている企業様は非常に少ないです。どうしても差異の分析作業が重くなってしまい、そのステップまで至れないからです。

システム導入などを通してより効率的な業務プロセスを描くことで、予算管理・予実管理の真髄であるアクション策定までたどり着くことができます。

着地見込を策定する

差異の分析が完了したら、着地見込の策定を行います。現時点の進捗率から期末には、どのような実績になるかを予測したものが着地見込です。

着地見込を策定することで、より計画との差異が明確になり、経営者としては意思決定がしやすくなります。また、策定する過程で、差異を埋めるためのアクションを検討するという効果もあります。

筆者の経験では、着地見込は差異分析がうまくできるようになった後に導入される企業様が多いです。まずは、予実差異分析をアクション策定まで回していくことが大切です。

経営報告をする

上記の4ステップを完了したら、経営報告をします。経営者は自らの意思が反映された計画の進捗状況を常に把握し、改善方法を検討します。

一般的には、経営会議や取締役会で報告されることが多いです。報告がなされるのは、コーポレートガバナンスの側面もあります。

予算管理・予実管理を実施するツール

予算管理・予実管理の5つの手順をご紹介してきました。それでは、より具体的にどういったツールを利用して予算管理・予実管理を実施していくかをご説明します。

Excel・スプレッドシート

予算管理・予実管理を行うための最初のツールは、エクセルやスプレッドシートです。もっとも一般的な方法です。

メリットは、費用がかからないことと、汎用性が高いことがあげられます。特に、汎用性という意味では、計算式の構築など個社の事情に応じて柔軟に設定できます。

デメリットとしては、ヒューマンエラーが起こりやすいことと属人化しやすいことがあげられます。汎用性が高い反面どうしても、数式の設定ミスなどが起きてしまいます。また、複雑になることも多く、作成者しかわからないという属人的な状況を生みやすい点もデメリットです。

予実管理をやり始めたばかりのときは、Excel・スプレッドシートでスタートすることをおススメします。費用をかけずまた、柔軟性高く実施できるためです。予実管理を始めたばかりのころは、ロジックの変更を柔軟にしたいケースもあります。こうしたケースには、Excel・スプレッドシートが適しています。

予算管理・予実管理システム

予算管理・予実管理を行うための他のツールとして、予算管理・予実管理に特化したシステムもあります。

メリットは、システムに計算ロジックが一元化されるためミスや属人性を生みづらく、また効率的に管理できる点です。他にも、導入にあたって他社の予実管理事例などをシェアしてくれるコンサルタントがつく点もあります。

デメリットとしては、費用が掛かる点と汎用性がExcel・スプレッドシートには劣る点です。しかしながら、経営判断につながる予実管理の効率化・高度化は、費用を回収するだけの効果が得られることが多いです。また、汎用性が高いシステムも最近は多くなってきています。

予算管理・予実管理をスタートして、成熟してきた企業やもう一段レベルを上げたい企業はシステムの導入がおすすめです。

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まとめ

予算管理・予実管理の違いをまとめてきました。実態として業務上の違いがない点と強調したいポイントの違いが言葉に表れている点を理解いただけたらうれしいです。

予算管理・予実管理を始めたい・これからブラッシュアップしたいという企業様は是非弊社DIGGLEのサービス導入も検討ください。「DIGGLEの導入で作業効率が上がり、アクション策定に時間がさけるようになった!」「経営の意思決定のスピードアップに貢献できた!」などのお声を頂いております。

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よくある質問

Q1. 予算管理と予実管理は何が違うのですか?
両者は実務上ほぼ同じプロセスを指しますが、強調する側面が異なります。予算管理は「計画をどう策定するか」に重きを置き、目標数値の設定や部門配分が中心となります。一方、予実管理は「予算と実績をどう突合し、差異を分析するか」に焦点が当たります。目的・担当部署・社内への効果も微妙に異なり、予算管理は経営計画策定、予実管理は経営モニタリングという位置づけです。両者は連続した活動として一体運用されるのが一般的です。

Q2. 予算管理・予実管理の標準的な手順を教えてください
標準的には、予算策定、実行、月次分析、着地見込策定、経営報告の5ステップで進めます。まず年度計画として予算を策定し、各部門が実行に移します。月次で実績と予算を比較し、差異の要因を分析します。その結果を踏まえて期末の着地見込を更新し、経営層へ報告して必要な打ち手を協議します。重要なのは、月次分析を単なる数値報告で終わらせず、計画を達成するためのアクション策定までつなげることです。

Q3. 予実差異分析で見るべきポイントは何ですか?
差異の大きさだけでなく、原因の構造を捉えることが重要です。売上差異は数量と単価のどちらに起因するか、コスト差異は固定費か変動費か、外部要因か内部要因かを切り分けます。さらに、一時的な変動か構造的な変化かを判断し、後者であれば計画自体の見直しが必要になります。差異分析は責任追及ではなく、次のアクションを生み出すためのプロセスです。月次で繰り返すことで、組織全体のPDCAサイクルが機能します。

Q4. 予実管理はExcelと専用システムのどちらで運用すべきですか?
組織規模や部門数、分析の粒度によって最適解は異なります。Excelやスプレッドシートは導入コストが低く柔軟ですが、ファイルの集計、バージョン管理、データ統合に手間がかかります。専用システムは予実差異の自動集計、着地見込シミュレーション、ダッシュボード化などを備え、月次分析の工数を大きく削減できます。組織が拡大し、リアルタイム性と複数部門の同時管理が求められる場合は、専用システムへの移行を検討する価値があります。

筆者プロフィール

畠山 遼

DIGGLE CCSO

早稲田大学政治経済学部を卒業後、総合商社の財務部・自動車部でM&A、海外子会社管理等の業務に従事。トリドールホールディングスにて海外買収子会社のPMI、子会社管理等を行った後、2021年4月にDIGGLEに参画。2023年4月にCCSOに就任。

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