管理会計の内容をわかりやすく解説!財務会計との違い・導入するメリットも紹介

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「管理会計ってなに?」

「財務会計とはどう違うの?」

会計業務に携わる際に、上記のような疑問を抱く方もいるでしょう。

管理会計は、自社の経営状況を把握し、適切な経営判断を行うために欠かせないものです。

本記事では、管理会計の概要について解説した上で、種類や導入のメリット、起こりやすい問題などを紹介していきます。

管理会計とは?

管理会計とは、経営における判断材料として活用するために、社内向けに作られる会計です。

経営者は管理会計の情報を基に、経営状況の分析や意思決定を行います。

また適切な意思決定のためには、自社の現状をタイムリーに把握しなければなりません。活用する情報が古いと判断を誤る原因になります。そのため、管理会計もスピーディーに行うことが重要です。

管理会計の目的

管理会計の目的は、経営者が経営判断をするにあたって、必要な情報を提供することです。

経営判断をする際には、過去のデータやその分析結果から自社の課題を洗い出し、改善に向けた適切な施策を考える必要があります。そのため、管理会計を用いて過去の正確なデータを知る必要があるのです。

もしも管理会計が行われず、経営者が自社の正確な現状を把握できなければ、経営施策の効果が薄まり、経営状況が悪化する可能性もあるでしょう。

管理会計と財務会計の違い

管理会計と混同されがちな言葉に、財務会計があります。

管理会計は前述のとおり、社内向けに実施する会計であり企業が独自に実施するものです。

一方で、財務会計は企業が関係者に対して自社の経営状況を知らせるために実施するものです。財務会計を行い決算報告書を提出することは、すべての企業に義務付けられています。

管理会計と財務会計の違いについては、以下の記事もご覧ください。

<参考記事>管理会計と財務会計の違いは?それぞれの特徴や目的をわかりやすく解説

管理会計の種類

管理会計には、主に以下の4つの種類があります。

  • 予実管理
  • 原価管理
  • 経営分析
  • 資金繰り管理

それぞれ見ていきましょう。

予実管理

「予実管理」は、経営目標に合わせて設定した予算と、予算に対する実績を把握するための手法です。

予実管理では、予算と実績の比較を行うために予実管理表を作成します。この表を参照し定期的に予算と実績を照らし合わせて、計画の進み具合を確認します。

予実管理のメリットは「計画の進捗状況をタイムリーに把握できること」です。予算と実績の差異が大きい部門があれば、早めに改善に向けたアクションを起こせます。

原価管理

「原価管理」とは、原材料費や人件費、設備費などの原価をあらかじめ把握し、コストを可視化する手法です。

製品の標準的な原価をあらかじめ見積もり、実際に製品が完成した後にかかったコストを計算して、見積もった原価との差を分析します。

原価管理によって正確に原価を把握すると、製品の価値や利益に見合った価格を設定できます。

同時に企業の損益や経営状況も分析できるため、適切な経営戦略を立てられるでしょう。

経営分析

「経営分析」とは、財務諸表などの情報を基に、会社の状態を詳細に分析する手法です。さまざまな指標を用いて、会社の損益や資産、成長率などを明確にします。

経営分析では、客観的な指標に基づく自社の強みや課題を明らかにした上で、経営戦略や改善策を立てることができます。

<参考記事>管理会計で行う分析とは?分析の種類や方法について紹介

資金繰り管理

「資金繰り管理」は、日々の入出金を管理する手法です。現金の流れを把握し、会社の経営資金が不足しないようにする目的があります。

具体的には、入金のタイミングや金額、出金の理由や目的など細かな情報を記録し、現在の資金状況を把握します。さらに過去の入出金データを分析すれば、将来の資金需要を予測することも可能です。

<参考記事>管理会計の仕事内容は?具体例や手順も紹介

管理会計を導入するメリット

管理会計を導入するメリットは、以下の4つです。

  • 経営状況が明確になる
  • 業績を正しく評価できる
  • コスト管理・削減がしやすくなる
  • 経営視点が身につく

それぞれ見ていきましょう。

経営状況が明確になる

管理会計のメリットの一つは「経営状況が明確になる」ことです。

管理会計を導入すると、部署別や事業別、商品別など経営者が知りたい数字を把握しやすくなり、経営戦略を立案する際に役立ちます。

また、週単位や月単位など、短い期間ごとに業績を確認すれば、機会や課題が発生した際に、迅速な意思決定を行うことが可能になるでしょう。

業績を正しく評価できる

管理会計を導入すると、各部署や個人の業績を正しく評価できます。
管理会計の数値を用いて目標を設定すると、評価の軸が明確になります「この数値を達成すれば評価される」と分かればモチベーションが上がり、自発的にアクションを起こす従業員も増えることが期待できるでしょう。そうなれば、会社全体の業績アップにもつながります。

コスト管理・削減がしやすくなる

管理会計を取り入れると、どれだけのコストがかかるのか、投入コストに対してどれだけの成果が生まれるのかを判断しやすくなり、コストの管理や削減に役立ちます。

セグメント(区分)情報を活用すると、製品やサービスごとの予算設定や目標の達成具合を把握でき、製品の開発やサービスの運用にかかったコストの明確化が可能です。

特に、原価管理を行うと「どこに無駄が出ているのか」を特定できるため、コストカットにも役立てられるでしょう。

経営視点が身につく

各部門に管理会計を導入すると、現場責任者はコスト意識や業務の効率性など、経営視点を身につけられるでしょう。

経営視点を身につけると、「自分の部署は予算計画を達成できるか」や「達成するために何をすべきか」といった点を強く意識するようになります。もし目標が未達成に終わった場合は、うまくいかなかった原因を分析し、改善策を考えなければなりません。

このようなプロセスを経ることで、現場の分析力や問題解決力が向上するメリットもあります。

各部門の責任者が経営目線を身につければ、会社全体の競争力を高められるでしょう。

管理会計を運営するうえで起こりやすい問題点

管理会計は、会社の経営状況をタイムリーに把握できる一方で、下記の問題点が発生する可能性もあります。

  • 管理する情報量が増える
  • 業務が属人化しやすくなる
  • 適切に管理・分析できるとは限らない
  • 部署変更における対応コストがかかる

管理会計を導入するまえに上記の問題点を理解し、各社や各部署で対策を考えましょう。

管理する情報量が増える

管理会計を導入すると、企業の経営者や管理者は、より多くの情報を管理する必要が出てきます。管理する情報量が増える理由として、管理会計を行うには、現場の要望やニーズに応える必要があるからです。

また、管理する情報量が増えると現場の負担も重くなるでしょう。特に情報を入力したり、分析したりする役割を担っている部署では、管理会計の導入による業務量の増加が大きな負担になるかもしれません。

業務負担を減らすには、データ入力の自動化や分析ツールの導入などを検討しましょう。

業務が属人化しやすくなる

管理会計に複雑なルールを適用すると、収益やコストを詳細に分析できます。一方で「業務の属人化」が起きやすくなるでしょう。

属人化とは「特定の個人や部署に業務が依存しすぎる状態」を指します。属人化が起きると業務の透明性や効率が低下し、さまざまな問題が発生する可能性があります。

例えば、管理会計のルールを理解している社員が不在の場合や、別の部署に異動した場合に問題が生じるかもしれません。また、他のメンバーが業務の全体像を把握しにくくなり、コミュニケーションや協力が困難になる恐れもあります。

属人化を防ぐには、管理会計のルールや手順を共有し、業務を分散させましょう。

適切に管理・分析できるとは限らない

管理会計は外部に報告する必要がないため、社内チェックが甘くなりやすいです。公認会計士や税理士にチェックを依頼する方法もありますが、分析そのものは社内で行わなければなりません。したがって、自社の実状にそぐわない管理会計が運用される恐れもあります。

適切な管理会計を行うためには、企業が自社の目標や戦略に合わせた指標を設定した上で、データ収集や分析を行わなければなりません。また、社内の関係者が管理会計の重要性を理解し、定期的な振り返りを実施する必要もあります。

部署変更における対応コストがかかる

部署変更が行われる際には、管理会計の担当者や担当部門にとって、過度なコストが発生する可能性があります。管理会計を導入するには、部署変更における対応コストを最小限に抑えるための対策が必要です。

例えば社員が異動した際には、新しい業務のルールを覚えるための研修期間が必要になるでしょう。この間仕事の効率が落ちたり、業務が滞ったりする場合があるかもしれません。

また社員の異動だけでなく、管掌部門の変更や部門の統廃合時にも、既存のルールを変更する必要があるため、対応コストが発生しやすいです。

まとめ

管理会計は、自社の経営に活かすために作成する社内向けの会計です。

管理会計を導入すると、経営状況を明確化し、業績を正確に評価できます。またコスト管理・削減もしやすくなり、経営視点も獲得できるでしょう。

一方で、管理する情報量が増加し、業務が特定の個人や部門に依存しやすくなります。さらに、適切な管理・分析の難しさや部署変更にともなうコスト増加が問題点として挙げられます。

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