事業に影響を与える予算は責任者を決めて別管理 予実管理tips#3
DIGGLEアンバサダーの青木です。
予実管理について、10回シリーズでみなさんにtipsを共有していければ幸いです。
3つ目のtipsは「事業に影響を与える予算は責任者を決めて別管理」です。
予実管理の中でも、大きく想定とズレてしまうと、全体に大きな影響を与える予算がいくつかあると思います。
例えば、売上。他にも、費用として大きい広告宣伝費、人件費、といった科目です。
みなさんは、こうした科目の予算設計はどうされていますか?
収支管理担当者が一括管理していますか?
それとも各予算設計の部門に、責任を持たせていますか?
なぜ責任者を決めて別管理するのか?
責任者を決めて別管理する一番の目的は、設計した人にちゃんとその予算の説明責任を持たせることです。
経営者が一人で売上も経費も管理しているような組織でない限り、基本的には収支管理担当者が各科目の予算を作るために、各部署にヒアリングしたり、データを集めて取りまとめて作成しているはずです。
大きな組織になると、ちゃんと取りまとめるために、専用のフォーマットなどを各部署に配布し、それを回収して最終的な予算策定に反映していることも多いかと思います。
こうしたフローが出来上がっている場合、予算策定のタイミングでは、それで会社として全体の予算の帳尻が合い、経営企画がとりまとめの責任を担えば、問題なく進む場合もあります。ただし実際に期がスタートして予実を毎月確認しだすと、弊害が出てくる場合があります。
それは、予算と実績に乖離が生じた場合です。
「なぜここのコストで差が出ているのか?」「どうして売上は計画通りに進捗しないのか?」実際に予算を作っているのは現場の部門長。だけど説明責任は経営企画に集中する。
なぜ乖離が出たのか、経営企画は明確に経営陣に説明できず、結局、差異の要因を明らかにするために現場確認に奔走…。でも予算策定時に、説明責任を求められなかった部門長は、どんな計画の前提だったかもうる覚えになってしまっている…。こんなことが起きたりしていないでしょうか?
上記のように、経営企画が現場と経営陣の板挟みになり、予実管理の「伝書鳩」になってしまわないように、責任者を決めて別管理することが重要なのです。
部門長に説明責任を持たせるためには?
説明責任を現場の部門長などに持たせるために、最も有効な方法は、予算策定時から部門長にも経営陣との会議に参加してもらうことです。
予算策定の根拠などを、部門長みずからしっかりと説明する場を設ければ、あとから予算と実績がずれた場合にも説明の責任を求めることができます。またちゃんと予算の根拠を説明する場があれば、「感覚的に、なんとなく」という、予算策定時によくある鉛筆をなめて決める、という部分も少なくすることができます。
予算の根拠が明確であれば、逆にずれたときにも、どこがずれているのかすぐにわかります。この前提が予算策定時とは違った、ここの予算が漏れていた、など、確認する手間も省けます。これを全部経営企画が担うと、経営企画の労力がいくらあっても足りない状況になります。
予実管理にパワーがかかりすぎてちゃんと回せていない、という場合のほとんどが、本当は機能を分けて各部署に責任を持たせるべきところを経営企画が全て巻き取って回らなくなっている、ということがほとんどです。
採用費や、給与・賞与の予算は、人員計画を立てている人事部が管理する。人員計画がずれたら、速やかに経営企画に報告をして、予算の変更をする。これを、売上を持っている営業部、広告予算を持っているマーケティング部、各部署に適切に割り振るのです。
こういった仕組みを各部署との間に作っておくことで、予実差が出た責任の所在が経営企画に集中することはありません。
各部署の部門長が、予算の説明責任を持つと、その配下のメンバーにも予算管理の意識が浸透します。なぜなら、もし予実差が出たら、部門長の責任になり、また結局部門長も、各メンバーに確認しなければ、予実差が出た理由がわからないこともあるからです。こうして各部署に責任を持たせることで、予算に対する意識が芽生え、それが少しずつ予実管理のPDCAを回す土壌を組織に生み出していくと思います。
予実管理はファイル管理や経費集計など、テクニカルな部分も重要ですが、権限の移譲や責任の所在の明確化など、組織マネジメントで解決できる部分も大きいです。今自社で起きている予実管理の課題が、テクニカルの問題なのか、マネジメントを変えるだけで解決できることなのか、見極めてみることもぜひ一度はしてみてくださいね。
著者プロフィール
株式会社Loveable 代表取締役 青木想
2007年3月 慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、同年4月に株式会社リクルート(現リクルートマーケティングパートナーズ)に入社。計数管理、事業戦略立案から法務、総務業務、サイト設計など、リクルートの企画職を9年間経験。その後2016年6月から外資系金融機関の営業職へ転職。初年度新人コンベンションで1387人中3位、女性営業マン1位を獲得。MDRTに該当。2018年2月に株式会社Loveableを設立。主にミドル〜レイターステージのベンチャーの1→100を支援する経営企画として、収支管理、KPIマネジメントから業務フロー改善、営業組織の型化などのサービスを展開。