経営企画交流ナイト!
こんにちは。DIGGLEアンバサダーの青木です。
今回、初の試みとして開催した、経営企画交流ナイト。なんと初回にもかかわらず100名近い方がいらっしゃるビッグイベントになりました。それもそのはず。今回のゲストはそうそうたるメンバー。ウォンテッドリー取締役CFOの吉田さん、アソビュー執行役員CFOの河合さん、スマートキャンプ取締役峰島さん、そして ユーザーベースAccounting&Finance統括責任者兼IR責任者 千葉さんと、もうこんな方々を集められるのはDIGGLEしかできないない!と経営企画マニアの私としてはスタートから大興奮でした。
今回はこの4名のゲストの方々と、DIGGLEのCEOである山本の5名で、予め参加者の皆様からいただいた質問にお答えする形で会は進みました。
今日はその質問一つ一つの貴重な回答をまとめながらお伝えできればと思います。
予実管理のスケジュールや進め方について
①計画策定はコミュニケーションが重要
会社の規模もフェーズも異なる4社でしたが、期初の計画策定はどの会社も、最低でも期が始まる2カ月前から準備されているとのこと。やはり計画策定にかかる時間は規模に関わらず、ある一定は必要なんですね。実際の予算の決め方は、TOPダウンで大枠を先に決める場合と、現場からの積み上げで作る場合と、大きく2つに分かれていました。このあたりは、私も以前ブログに書かせて頂いたように、「エイヤー型」と、「理詰め型」に別れる部分です。
でも、最終的には各社どちらもうまく掛け合わせて策定されていることがほとんどでした。特にTOPと現場との擦り合わせは、皆さん非常に丁寧にされていらっしゃる印象でした。組織が大きくなると、計画策定に関わる関係者も増えるので、関係各位とのコミュニケーションは非常に重要なプロセスですね。
②経営企画は少数精鋭
意外だったのは、経営企画の人数。ユーザーベースさんのような上場企業で、ホールディングスのような体制をとっている会社でも、経営企画は3名程度しかいらっしゃらないということ。少数精鋭ではあるものの、経営企画人材はやはり少ないんですね。そしてきっと千葉さん大変だろうなぁ、、、と涙。リクルートの経営企画として働いていた頃の自分と重ねながら、労働集約型にならざるを得ない経営企画の仕事の大変さを改めて感じました。
KPIの設定について
予実管理と切っても切り離せないのが、このKPI設定だと思います。まず、各社ともに、細部まで数値化を徹底されていて、業績を伸ばすには数値管理は切っても切り離せないことを改めて痛感しました。また、見るべき数字の粒度と頻度を適切に切り分けることもやはり重要ですね。週次で見る数字、月次で見る数字を決めてしっかり運用に乗せて初めて機能するのがこのKPI管理であると思います。
①予測できないものこそ予測する
これも極めて重要な視点でした。例えばアソビューさんの「催行率」。売上は実際にそのアトラクションが実施(=催行)された場合にのみ発生します。しかしビジネスモデル上、どうしても外で開催する企画は、天候によって開催の有無が左右されるリスクは拭えません。そこを催行率という形で、そのリスクを読み込んでいらっしゃるとのこと。また同様に、スマートキャンプさんでの「無効率」も同じリスクを読み込むKPIでした。スマートキャンプさんが運営するボクシルでは、資料請求のうち、競合が調査目的で資料請求をしていた場合は、全体の資料請求数から除外されていていらっしゃいます。その分の売上減を「無効率」でというKPIで設定していらっしゃいました。
どちらの場合も、本質的には予測が難しい数値です。でもコントロールできない要素だからこそ、リスクを一定値置いて可視化させる。まさにKPI管理の本質だと思いました。
②KPIを柔軟に変化させる重要性
また、アドホックなKPI設定のお話も大変参考になりました。事業の状態が想定とは違う動きをしている時に、一定期間、その動向を管理するために部分的にKPIを切り出してモニタリングするというフローです。KPIは一度決めたらおしまいではありません。むしろ事業の進捗、規模、フェーズによって柔軟に変えて進化させていくことに意味があります。ですからその時にふさわしいKPIを設定できることは非常に重要だと感じました。
計画の精度担保のためにしていること
計画の精度については、やはり会社のフェーズによってその意味合いが変わってきますね。
①アーリーステージでは精度よりはメッセージ性
アーリーステージでは、精度よりも、その計画が意味するメッセージのほうが大事だと思いました。もちろん、前提としてまだ精度高く計画を設計できない、という部分はありますが、計画=目標なのだ、ということの方が大きく作用しますね。アソビューの河合さんのおっしゃっていた、「計画は組織全体の目線を上げるための数字」というのはまさにおっしゃる通りですね。計画の実現可能性よりも、その数字を目指すことでどんな世界を描いていくのかが大事という部分は、組織として「数字に意志を込める」ということにも通じます。逆にステージが上がると、どうやって関係各所で落としどころを見出すか、という合意形成が非常に重要になっていく、というお話は対照的な部分でした。組織のフェーズに合わせて、計画の位置づけも変えていけることが予実管理では大事な部分ですね。
実績管理について工夫していること
実績管理は経営企画担当者ならだれもが頭を抱えるところです。ここも、スマートキャンプさんが社内向けに実施されている「コーポレートファイナンスレクチャー」はとても勉強になるお話でした。売上の管理はできても、コストの管理がどうしても手薄になりがちです。そこをスマートキャンプさんでは、この「コーポレートファイナンスレクチャー」を通して、メンバーに、なぜ上場を目指す必要があるのか、なぜ実績管理する必要があるのか、といったことを定期的にお話をされていらっしゃるとのことでした。また組織の中でも、各マネージャーにコスト管理のミッションも持たせているそうで、そうすることでメンバーにコスト意識を持ってもらう啓発もできます。「即効性はなくって泥臭いんです」と峰島さんは謙遜しておっしゃっていましたが、極めて重要かつ即効性のある打ち手だと感じました。コスト管理は現場にボトルネックがある場合も多いです。組織としてコスト管理の重要性を、社内の取り組みや、マネジメントで解決されているところは非常に参考になる部分でした。
IPOを目指すときに考えるべき予実
①予実差の原因をロジカルに分解する
KPIの設定のところにも繋がるお話ですね。収支の数字はあらゆるKPIの積み重ねの結果であるからこそ、それを無視して、帳尻合わせの説明をすると後々説明責任を問われるということです。しっかりと数値間の整合性がつく、ロジカルな原因分析は特に上場時に求められる側面ですね。
②証券会社との信頼関係を築く
想定していないことが起きそうなときは、早めに証券会社に説明をしておく、という極めてシンプルな方程式でした。でもこれもなかなかできないことが多い部分ですよね。特に上場すれば下振れはもちろん、上振れも影響が出ます。早めにリスクは開示し、相談して「証券会社をびっくりさせない」というお話は、実際にIPOされた吉田さんだからこそわかるお話だと思いました。
③バリュエーションを実現する「覚悟」
これは一番印象的でした。証券会社によくビジネスの構造を理解してもらうこと。また、リスクヘッジできるようにバリュエーションの前提となるロジックはちゃんと策定して共有しておくこと。②にもつながりますが証券会社との関係性の質を高めることは非常に重要ですね。なんとも、リアリティのあるお話です。笑
また、担当者は目の前の上場審査の対応と、中長期的に上場後の成長戦略の絵を描く役割と、常にその狭間に立たされ続けることも覚悟しておくしかない、とのことでした。会社は上場がゴールではないわけですし、その後の資本政策もCFOとしては非常に需要です。しかし、どうしても目の前の審査対応のためにその優先順位が劣後することがある、というtipsは頭の片隅に入れておく必要がありそうです。この辺りは、吉田さんや千葉さんの言葉の一つ一つに重みを感じるセッションでした。
今回は幅広く、予実に関わるお話をしていただきましたが、ご登壇者の方1人ずつ会を個別に開いてお伺いしても、知り尽くせないぐらい、たくさんの経験が詰まったお話でした。
次回も開催予定なので、今後がますます楽しみです!!!