IT費用管理の予実表作成が1/10の工数に。余剰予算のスムーズな再配分も実現

導入背景

  • 各部からの予算を手作業で集計していたため工数がかかっていた
  • 予算更新時の変更内容がすぐに把握できず、再配分がスムーズにできなかった

選定理由

  • 導入スピードの速さが決め手
  • 欲しい機能を備えており、シンプルで使いやすい

導入効果

  • 二人がかりで1週間かかっていた予実管理表の作成が、集計の自動化により一人で半日でできるようになり工数が1/10に削減
  • 差異理由の可視化により、スムーズな再配分ができるようになった

住友重機械工業株式会社は、総合機械メーカーとしてものづくりから社会インフラ、最先端技術まで、幅広い分野で社会に貢献している企業です。

同社では、住友重機械グループ全体のIT資産管理を担うICT本部にて、予実管理クラウド「DIGGLE」をご活用いただいています。この記事では、「DIGGLE」導入までの経緯や実際にどうご活用されているか、さらに今後のご期待について、ICT本部の室屋 毅さん(以下、敬称略)にお話をお伺いしました。

導入背景

煩雑な集計作業の改善とスムーズな予算配分を実現したかった

最初に貴社の事業と室屋さんの業務内容についてご紹介をお願いします。

室屋:住友重機械工業は総合機械メーカーとして、建設機械や産業機械、精密機械、輸送機械など、さまざまな産業を下支えする機械づくりを得意としている会社です。

私はICT本部の情報戦略部企画管理グループに所属しています。ICT本部は住友重機械グループ全体のIT資産を管理しており、最近ではDX推進やITガバナンス、各種社内システムの管理運営などをしている部署で総勢200名ほどです。その中で私は請求処理や予算管理、工数管理などを見ているほか、プロジェクトの進捗確認や各種レビューといった品質保証管理に携わっています。

私は2022年12月に入社し、ICT本部内の予算管理、予実管理を改善するのが最初のミッションでした。

最近はSaaSの浸透などシステムの種類や利用形態、費用などが複雑化しています。IT投資・費用管理において特に大変だと感じていらっしゃることはなんでしょうか。

室屋:最近だと会計基準の変更でリースの判断が厳しくなったので、リース一覧の棚卸しなどを改めてやっています。あとは毎年の資産棚卸しも大変ですね。パソコンはすべてリースなので資産の総数としては数千くらいの規模ですが、それでも膨大で、かつ人員も多いので、機器を紛失したという話も少なくありません。機器はすべてSAPの台帳に記入されているので、例えばハードディスクが一個でも見当たらないとなれば、捜索にかなりの手間がかかってしまいます。

あとは2025年の1月に住友重機械グループ全体のITガバナンス基本方針を制定し、その中でIT投資効果の向上による企業価値の最大化を重点項目として盛り込んでいます。適切なROI、投資に見合った効果の回収のため、今後はよりいっそう波及効果含めた測定も重要になりますし、何か導入した部署には実際に配賦といった形で反映もされるので全社で投資に対する意識を高めていく必要があります。

IT投資・費用管理はますます複雑かつ重要になっているのですね。それではICT本部では「DIGGLE」導入前はどのような管理体制だったのでしょうか。まず予算策定の流れを教えてください。

室屋:当社では企画本部が全社の予算管理をしており、まず各部から来年度の予算を申請する形をとっています。12月が期末で、10月頃に予算希望を出し、そこから交渉・調整をして最終的な予算に着地するという流れです。

予算の出し方についてはフォーマットが用意されているのですか。

室屋:そうですね。最終的な金額に関してはフォーマットがあるのでそれに記入し、費目ごとの細かい予算についてはSAPに入力しています。

ICT本部内の各部に対しては、SAPに入力するのと同じ粒度で予算を積み上げてもらい、最終的な金額はICT本部全体で出します。それを経営企画室に出すときは、「開発費10億円」「人件費10億円」くらいのもっと大きな粒度で出しています。

予算の確定後は、どのくらいの頻度でアップデートなどされていたのでしょうか。

室屋:企画本部への報告は、期初と期中で行っています。前期と後期が切り替わるタイミングで見直しの予算を決めるので、その1ヶ月前に後期の見直しの予算を提出しています。

ICT本部内では毎月見込運用を実施していますが、SAPでは見込管理ができないので、エクセルで管理をしていました。

「DIGGLE」導入前に感じていた課題についてお聞かせください。

室屋:一番大きな課題はエクセルの管理が煩雑なことでした。部門コードが30個あり、そのコードごとに費目があるので、毎月30個のエクセルファイルが作られていました。それを集計し、予実とぶつけて、差異があれば原因を担当者にヒアリング。そこから再度集計し、最終的にSAPにアップロードしていたので、その毎月のフローに手間がかかっていたわけです。

各部署のリーダーも大変ですが、私たちも2人がかりで1週間かけてエクセルの集計作業を行っていたので、ここが一番の課題でしたね。

また予算・見込を更新した際に、変更箇所がすぐに把握できず、必要な箇所へ振り分けができないことも課題でした。例えば予算と毎月の実績を比べたときに、パッと見て100万円違うのはわかるけど「その100万円が何なのか」をすぐに把握できなかったわけです。

本来であれば、それが「期ズレによるものだから問題ない」のか「案件自体がなくなったのでその100万円を他のことに使える」のかを迅速に把握し、次の手をすぐに打てることを理想としていました。「部署Aで100万円余ったから、部署Bですぐに使おう」といったところまでわかるとベストでした。

貴社の場合はどこがズレやすかったのでしょうか。

室屋:一番は用益外注費ですね。期ズレや案件の頓挫、案件規模の縮小などが理由として挙げられます。

選定理由

導入までのスピードとシンプルな機能が「DIGGLE」選定の決め手

課題としてはエクセル管理の煩雑さが一番大きかったとのことですが「DIGGLE」を導入するきっかけは何だったのでしょうか。

室屋:とにかく集計作業に工数がかかっているので、そこをどうにかしたいというのがまず一歩目としてありました。

SAPで出てきた実績を予算と当てるための転記を自動化しようとしても、エクセルが固まってしまって結局手作業になってしまい、そこに工数が取られていました。

室屋さんが入社されてからシステムを探していかれたとのことですが、「DIGGLE」以外にもご検討されたのでしょうか。

室屋:「DIGGLE」を含め5社で検討し、最終的に3社に絞り込みました。選定の軸としては金額と、機能面では費目と製番で自動で集計ができるか、SAPに取り込むためのフォーマットで出力できるかなどを重視しました。

最終的に「DIGGLE」をお選びいただいた決め手は何でしたか。

室屋:導入までの期間が短いことが一番の決め手でしたね。

また他社のシステムも多機能で魅力的だったのですが、正直複雑で「使いきれるかな」という気持ちもありました。「DIGGLE」にはないけどこの機能が絶対欲しいみたいなものはなかったんですよね。その点「DIGGLE」はシンプルで必要な機能が揃っている点がよかったと思います。

もちろん今後機能拡充などアップデートはどんどん行なっていきますが、社内や業務への浸透という観点で「シンプルで使いやすい」点は重視しているのでご評価いただけて嬉しいです。

活用効果

予実管理表の作成工数が従来の1/10に低減、予算の再配分もスムーズに

「DIGGLE」導入によって大きく変わった点をお聞かせください。

室屋:ICT本部内での予算策定や見込を「DIGGLE」上でできるようになったので、転記作業が不要になった分、締切に余裕が生まれました。エクセルで運用していた頃に比べると1週間ほど余裕を持って締切を設定できているので、各部のメンバーにも余裕が生まれています。

ICT本部では現在64ユーザーにご活用いただいていますが、アカウントを持たれている方の範囲や使い方をお聞かせください。

室屋:基本的には部長と、予算の責任があるマネージャーがアカウントを持っています。それに加え、部署ごとに数字の入力担当を設置していれば、その方たちにもアカウントを渡しています。

社内への展開に関しても、たまに細かい使い方の質問がくることなどはありますが、思っていたよりもスムーズに導入できたと思います。

フローの変化や室屋さんご自身の作業の変化についてはいかがでしょうか。

室屋:エクセルをまとめる作業がなくなりとても楽になりました。以前は毎月エクセルを集計して予実比較表を作成するのに2人がかりで1週間かかっていましたが、今は私一人で半日でできるようになったので、工数は1/10以下くらいになっています。

またエクセルだと気づかないうちに更新や上書きされていることもあったのですが、その心配もなくなったのは心理的な面でもガバナンスの観点でもよかったです。

理想の姿としてお話しいただいた、期中でどんどん予算の振り分けを行なっていきたいという点についてはいかがでしょうか。

室屋:変更箇所がわかりやすくなったのは大きいですね。後期の計画を締めた後に、前期と後期を比較すると、何がどのくらい変わっているかが一目でわかるようになりました。そこから予算の振替もスムーズに行えています。

今後は見込の精度も上げていきたいです。エクセルのときは予算を実績で上書きしちゃっていたので過去の予算と比較するのが難しかったのですが、今はアカウントがあれば「DIGGLE」で簡単に過去のデータを見ることができるようになったので、各部での活用も深めて精度を上げていければと思っています。こればかりはツールがよくなっただけで変わるものではなく、意識変革ももう少し時間をかけてやっていければと思っています。

ほかに「DIGGLE」導入でできるようになったこと、変わったことがあればお聞かせください。

室屋:バージョンコピーが簡単にできる点に助けられています。計画をコピーして、変更箇所だけ入力すれば別のバージョンができるので楽です。予算策定時の企画本部とICT本部内での調整などの際にも重宝しています。

今後の期待

今後DIGGLEに期待することがあればお聞かせください。

室屋:まだ計画段階なのですが、今後は工数管理を強化する予定なので、工数を金額に落として「DIGGLE」と連携できるようにしたいと思っています。

現在、人件費に関しては、人員管理システムから「DIGGLE」に取り込んでいます。工数を可視化することで「今は9名しかいないけど10名分の人員が必要」という各部署の希望と人件費予算とのすり合わせが見える化できればいいと考えています。

あとは管理会計ならではだと思うのですが、企画管理グループでバッファの予算をもっておくというような運用もできるといいなと思っています。各部でバッファを持つような運用だと期末に結局使わなかったということも多くなってしまうので、各部署ではぴったりの金額ですべて申請してもらい、必要に応じてこちらで全体最適を見ながら期中で柔軟に振り分けていくといったイメージです。

本日はありがとうございました。