九州旅客鉄道株式会社|JR九州が行う適材適所のDX。全社での財源フル活用を目指し、財源の見える化と施策単位での予実管理体制構築を実現。

導入の背景

  • コロナ禍により自社でコントロールできる費用管理の重要性、特に財源の見える化や精緻な見込作成の重要性が増した。
  • 財源情報を、全員がタイムリーかつ共通フォーマット上で把握できるようにしたい。
  • 予実管理の単位を財務部と他部署の社員がどちらも管理しやすい粒度(=施策単位)に統一したい。

「DIGGLE」選定の理由

  • 勘定科目だけでなく、施策単位で予実管理ができ、誰でも使いやすいUIである。
  • データ連携がアップロード形式で柔軟性が高く、ライトに導入ができた。
  • 他ツールと比べて圧倒的にコストパフォーマンスが高い。

導入による効果

  • 各部署と同じデータを見ながら、施策単位で差異要因や費用計上時期を会話できるようになった。
  • 全社的に施策単位で予実管理を行う習慣ができ、費用計上時期を気にするマインドが醸成されるなど予実管理意識の向上に繋がった。
  • 同じデータを見て会話できることで、全社管理部門と各部署の心理的距離を近くする効果もあった。

九州旅客鉄道株式会社は、安全・安心なモビリティサービスを軸に、地域の特性を活かしたまちづくりを通じて九州の持続的な発展に貢献する、プライム市場上場企業です。

この記事では、予実管理クラウドサービス「DIGGLE」導入までの経緯や実際にどうご活用されているか、さらに今後のご期待について、同社 財務部財務課 損益予算 主査の小田 基貴さんにお話をお伺いしました。

導入背景

コロナ禍により自社でコントロールできる費用管理の重要性が増した

まず簡単に自己紹介と、ご所属されている部署の担当業務を教えてください。

小田:JR九州の財務部財務課 損益予算 主査の小田 基貴です。財務部で上場前後の決算を担当した後、支社の経理や旅行事業の経理、営業販売システム等の業務を経て、現在は全社の予算総括を担当しています。

「DIGGLE」導入前の予実管理における課題や、実現したかったことなど、予実管理ツールを検討された目的を教えてください。

小田:以前から管理会計周りのDXの必要性は課題として挙がっていましたが、コロナ禍で外部要因による変動が大きい収入に対し、自社でコントロールできる費用管理の重要性、特に財源の見える化や精緻な見込作成の重要性が増したことがシステム導入をする大きなきっかけでした。その中で実現したかったことが大きく二つあります。

一つ目は、財源(予算のあまり等)の情報を、全員がタイムリーかつ共通フォーマット上で把握できる環境をつくることです。導入前は情報が各担当者の頭の中にしかなく、知りたい情報を知るためには社内の伝達だけで膨大な時間がかかり、また管理様式も担当者独自のものだったため、効率的な財源の活用や精度の高い見込の作成に非常に労力を要していました。

二つ目は、予実管理の単位を財務部と他部署の社員がどちらも管理しやすい粒度に整えること、すなわち施策単位で全社的に予実管理を行うことです。財務会計では勘定科目が重要だと思いますが、管理会計においては「何に使ったのか?」を分析するための「施策名」が非常に重要です。また以前はマクロ(施策)で把握したい財務部と、ミクロ(科目)で把握している他部署間での視点の違いがコミュニケーションロスを生んでいました。そのため、データの見える化と合わせて、その見える化するデータの共通の管理単位づくりが不可欠だと考えました。

選定理由

施策単位で予実管理ができる機能と、柔軟なデータ連携が決め手

当社の製品をご採用いただいた理由を教えてください。

小田:複数のサービスを比較検討した中で「DIGGLE」を選んだ理由は主に三つです。

一つ目は、UI・UXの良さです。先述のように施策単位で予実管理ができる点を重視していたので、「DIGGLE」はその考え方にマッチしていましたし、他部署の社員も使いやすいUIだと感じました。他社のシステムは、勘定科目単位での管理に重点を置いているものばかりでした。社員全員が財務管理の知識を持っているわけではないので、施策単位での管理の方が誰にでもわかりやすく、予算は施策ごとにとるものなので予実管理も同じ単位で行う方がスムーズにできると考えました。

二つ目は、CSVファイルのアップロードだけでデータ取り込みができ、ライトに導入できた点です。管理会計は常に変化するものなので、システムも合わせて変化する必要があると考えています。API連携などでガチガチにインターフェースを繋ぎこみしてしまうと、その管理だけで大変で、変更がしづらくなってしまうと考えました。

三つ目は、費用面です。複数のツールと比較検討しましたが、機能に対する価格として、圧倒的にコストパフォーマンスが高いと感じました。

導入時の工夫

目指す姿をクリアにし、固定費と施策費を切り分けて運用

「DIGGLE」導入後、事業部側を含めた業務フローはどのように変化しましたか?また、業務フロー構築で意識したポイントを教えてください。

小田:現状、予算データに関しては全て「DIGGLE」に入っている状態になりました。当社の事業特性として、費用のうち固定費が大半を占めるため、計画との大きな差異が出るのは新規プロジェクトや個別施策などの部分なので、設定で経常費用(=固定費)と施策費用を切り分けたことで運用しやすくなっています。

業務フロー構築のポイントは既存のフローに縛られないこと、また全部をシステムでやろうとしないことだと思います。適材適所で、システム、エクセル、人間それぞれの長所を活かした業務フローの構築を行うことが、真のDXになると考えます。そうした考えのもと、導入にあたり最も変化させたフローが、全ての予算をどの施策で使ったのかデータで取れるように、経費申請の際にそれに紐づく予算番号(JR九州社内で1施策に対し1つ発行される番号)の記入をするよう、社内に徹底したことです。予算番号の経費申請時の入力を徹底することで、「DIGGLE」に会計データをアップロードするだけで、自動的に施策単位で予実突合がされるようになりました。一方で、定義が変わりやすいものやダミーデータの計算などはエクセルが一番便利なので、今もエクセルで計算して「DIGGLE」にアップロードするフローにしています。

また、「DIGGLE」導入や業務フローの変更に際し、目指すべき姿を明確に示し、社内に導入メリットを感じてもらうことも意識的に行いました。今回の目指すべき姿は、「会社の予算を余すことなく全員で使うこと」でした。先述のように、当社は固定費が大きいという事業の特性上、コスト管理が利益管理に直結するので、限りや期限ある予算を最大限活用することが会社の業績としてプラスになります。各部署にとっては部署間での助け合い(予算振り分け)がしやすくなることがメリットです。今回の変更でそうしたことが実現できると伝えることを意識しました。

活用効果

予実管理意識の向上に加え、全社管理部門と各部署の心理的距離が近くなった

導入により、当初の目的は達成できましたか?実感いただいている効果を教えてください。

小田:目的であった「財源情報を、全員がタイムリーかつ共通フォーマット上で把握できる環境づくり」と「施策単位で全社的に予実管理を行うこと」が実現されました。

導入前は予算使用状況のヒアリングしかできない状態でしたが、導入により同じデータを見ながら、施策単位での差異要因や費用計上時期を会話できるようになりました。また予算の施策単位での見える化で、差異があれば「◯月に使う」or「使わない」の明確な二択になったことにより、予算使用時期を気にするマインドなど、全社的に予実管理に対する意識が向上してきています。

また、全員が同じツールを使い、同じデータをリアルタイムで見ているということは、情報管理のメリット以上に、全社管理部門と各部署の心理的距離を近くするコミュニケーションツールのひとつとして大きな役割を担いつつあると感じます。

今後の期待

財務情報を身近にするコミュニケーションツールとしての機能拡張に期待

最後に、今後のご要望やご期待いただける点を教えてください。

小田:ユーザー接点を増やすための機能開発に期待します。財務情報は、多くの方が月末月初の1週間ほどで集中的に入力して後は見ないものになってしまっていますが、もっと日常的に状況を把握したり、状況に合わせて変更を行ったりするものになってほしいです。そのため、SNSのように「いいね」がつけられたり、通知機能があると、日常的に見るきっかけになるのではないかと思いました(※)。

また、まだ導入したばかりなので、今後は「DIGGLE」で見込管理も行えるように引き続き体制づくりを行っていきたいです。社内に対しては、今行っていることを徹底してやり抜き、施策単位での全社的な予実管理を、習慣や文化のレベルまで昇華させていきたいと思っています。

今後ともフィードバックをいただきながらプロダクトを進化させていきます。また、見込管理の体制づくりや社内浸透に関しても引き続きサポートさせていただきます。本日はありがとうございました!

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