株式会社IC|属人化とミスを解消。上場企業に適した、信頼性の高い予実管理を実現

導入の背景

  • 予算策定用のエクセルのマクロを組んだ前任担当者の退職により、メンテナンスが不可能かつ原因不明のエラーが頻繁に発生しており、そうした属人化や集計ミスなどの予実管理の課題を解消し、信頼性の高い経営数値の管理を行いたかった。
  • エクセルでの管理では、過去予算との比較分析や予実差異の要因分析に多くの手間が発生しており十分にやりきれないこともあった。
  • 会計システムでの配賦処理を行っていたが、プロセスが多く工数負荷が高かった。

選定理由

  • エクセル管理から脱却でき、全社で情報の一元管理や管理粒度の統一、属人化の解消が可能。
  • 部門別PLやサービス別PLなど、見たい切り口のPLを柔軟かつすぐに作成できるなど、自由度が高く使い勝手もよく分析しやすい。

導入効果

  • 管理の属人化・ミスの解消が実現でき、上場企業に適した経営数値の管理を行えるようになった。
  • 予算データ同士や予算と実績との比較分析、また差異要因の仕訳まで遡った原因分析などを「DIGGLE」上で簡単に行えるようになった。
  • 「DIGGLE」で配賦処理を完結できるようになり、工数負荷が大きく解消された。

株式会社ICは、ソフトウェア開発やITサービスの提供などを行う東証スタンダード市場上場のSIerです。

この記事では、同社が予実管理クラウド「DIGGLE」を採用するまでの経緯や導入後の効果などについて、同社 執行役員で経営企画室  室長の三浦 光大さんと、経営企画室 課長代理の宮嶋 正弘さんにお話を伺いました。

導入背景

表計算ソフトでの予算策定が限界に。信頼性の高い経営数値の管理を目指しシステム化を検討

まず簡単に、事業内容とお二人のご所属・担当業務を教えてください。

宮嶋:経営企画室 課長代理の宮嶋正弘です。当社は創立47年になるSlerです。幅広い業界に向けた独自サービスやSaaSの提供を行うITサービス事業とソフトウェアなどITインフラの設計開発・運用に関するサービスを手掛けるITソリューション事業の2軸で事業を展開しています。

私は、人事労務や給与・法務などの業務を経て、現在は経営企画室で有価証券報告書などの開示書類の作成や決算説明会の運営といったIR関連の業務と全社の予実管理を行っています。

三浦:経営企画室 室長の三浦光大です。約20年ほど現場部門でインフラの設計構築を行っていました。その後、経営企画室に移ってからはIR全般を担当しており、中期経営企画の策定や全社の予実管理など一般的な経営企画室で行う業務を全般的に担当しています。

「DIGGLE」導入前は、どのように予算策定や月次の予実差異分析・レポーティングなどを行っていましたか?

宮嶋:まず概観をお伝えすると、導入前の予実管理は全てエクセルで行っていました。管理単位は「部門」の一つ下の階層の「グループ」単位で行っており、約40グループあります。基本的に予算策定と月次の予実表の作成フローはどちらも同じで、各グループがそれぞれ管理するエクセルのフォーマットに数値を打ち込んでもらった後、経営企画室で集計を行い、経営層が閲覧するフォーマットに加工し展開していました。

三浦:予算策定は、各グループが細かい積み上げで作成したグループ予算を経営企画室が集約していました。経営層向けには重要な項目をピックアップしたり、管理粒度を変更して全社版を作成していました。

実績についてはOBIC7(会計システム)で原価計算をしていて、OBIC7から出力した原価計算済みの会計実績ファイルを各グループの担当者がそれぞれの予実管理エクセルに手作業で転記していました。ただ転記ミスをする可能性があり、以前の業務フローで不安だったポイントの一つでもありました。そこから経営企画室では、予算策定の際と同様に各グループの予実管理エクセルを集計し、重要な項目だけをピックアップした経営層向けの全社版予実エクセルを作成していました。予実差異については、経営層・経営企画室・各部の部長が参加する部長会で月に1回、月次の予実の確認を行っています。差異が出た理由などは各部長がその場で口頭で報告しています。

「DIGGLE」導入前の予実管理における課題や、システム導入を検討するきっかけについて教えてください。

三浦:予算策定をエクセルのマクロを組んで行っていたのですが、そのマクロを作成した前任担当者の退職によりメンテナンスができなくなったこと、このままだと予算策定を行う仕組みがなくなってしまうという危機感を感じたことが大きなきっかけでした。具体的には、原価や販管費、人件費、配賦後の共通費などの区分ごとにエクセルで予算を作成し、最後にマクロで集計を行ってPLを作成していたのですが、エラーが出てもはっきりとした原因を特定できずブラックボックス化していました。エクセルを作り直すことや、メンテナンスをし続けることも大変ですし、経営データの信頼性を保つためには、予実管理に特化したシステムに置き換えて、会社としてのリスクをなくしたいと考えました。

経営企画室 課長代理 宮嶋 正弘 氏

選定理由

システム上で予実管理を完結できる点とUI・柔軟性の高さが決め手

自社での開発やエクセル運用の工夫などで解決するのではなく、専用システムを導入しようと思った理由を教えてください。

宮嶋:予実管理システムは、経営層や管理部門だけでなく現場の人間など様々な人が日常的に使うので、誰でも気軽に利用できることが大事だと考えています。餅は餅屋とも言いますが、予実管理システムを専門で作っている会社の製品であれば「間違いないだろう」と、「DIGGLE」のような世の中に受け入れられている製品を導入するのが合理的と判断しました。

複数の予実管理システムを検討された中で、「DIGGLE」をご採用いただいた理由を教えてください。

三浦:他社のツールと比較検討した中で「DIGGLE」を選んだ理由は主に二つです。

一つ目は「エクセル脱却」ができる点です。経営陣から「エクセルをできるだけなくしたい」と要望があり、「DIGGLE」は今までのエクセル管理から脱却できるシステムだった点で当社のニーズとマッチしていました。各個人が好きなように管理ファイルを作ってしまうと結局属人化してしまうので、会社で統一したフォーマットを使うことで管理の粒度や、目線も統一化できるようにしたいという思いが強くありました。

他社のシステムは、エクセルで数値を作りシステムに取り込んで連携させるというコンセプトの製品が多く、求めている要件を満たすものはあまりありませんでした。

二つ目は、デザイン性や柔軟性の高さなど、使い勝手が良い部分です。選定にあたってDIGGLEの営業担当者には、当社の取締役など経営層に向けてプレゼンもしてもらったのですが、「部門ごとのPL」や「サービス別のPL」といった、すぐに見たい切り口のPLを出せる点や、自由度高く分析がしやすい点が社内で評価の高いポイントでした。

活用効果

属人性や手作業によるミスが解消。上場企業として信頼に関わる経営数値の管理におけるリスクが減少

「DIGGLE」導入後の月次の予実管理フローについて教えてください。

三浦:5営業日で会計実績が締まり、2営業日で現場で実績値の確認が行われた後、7営業日目に経営企画室に実績値が回ってきます。そこから5〜7営業日くらいで現場が見込を更新し、その翌週に取締役会や部長会が開催されます。そのため現場の見込更新が完了した当日とその翌日の2日間くらいで、我々は会議資料の準備をします。会議資料は、一部を印刷し、かつ定型フォーマットで用意しないといけないものがあるのですが、「DIGGLE」のレポートをCSVでダウンロードしエクセルにコピペすれば完成するようにして、その他のレポートに関しては直接「DIGGLE」の月次レポート(※1)を見てもらうようにしました。今までエクセルで作成していたレポートは、全て月次レポートで作成し社内にも共有済みのため、各自で自分の部署のレポートなどを毎月「DIGGLE」で確認してもらえるようになっています。以前は10種類ほどの資料をエクセルで作成し、全て印刷・ホチキス留めをして配布していたので、作業量もだいぶ減りました。レポートはURLで共有できるのも便利です。

※1:月次レポートとは、一度要望に合わせてカスタマイズしたPLを翌月からワンタッチで自動生成できる機能

「DIGGLE」導入後、当初の課題だった管理の属人化や手作業によって発生していたミスは解消されましたか?

宮嶋:はい、管理の属人化が解消されました。以前はエクセルファイルがたくさんあって見たい数値を探すだけで時間がかかっていましたが、今は「DIGGLE」で一元管理しているので各人が同じ粒度のデータや必要なレポートにすぐアクセスできるようになりました。

三浦:経営企画室で扱っている数値は、経営判断の材料としての役割や、上場企業として投資家の方など外部に向けて公開する企業評価に直結する重要な数字です。そのためミスをゼロにすべく取り組んできましたが、エクセル管理ではどうしてもミスが発生してしまっていました。特に、期変わりのタイミングでは組織変更に対応するためにエクセルを改修する必要があり、そのタイミングでミスが発生することが多く、それに気づくのも期が始まり運用して少し経った頃という状態でした。定量的に示すのは難しいですが、「DIGGLE」を導入したことによってミスのリスクが減ったのは会社としてとてもインパクトが大きいことだと感じています。また、以前は一度見直しても安心できず、複数回チェックをしていましたが、経営企画室では各現場の一つ一つの数値の整合性までは感覚では分からず、大きな異常値が出てこないとどうしてもミスに気がつけないという状態は、心理的負担も大きかったのですが、「DIGGLE」で解消されました。

宮嶋:エクセルで管理していたときは、合計数値がなぜか合わずに元データを延々と遡って確認しなければならなかったり、かつミスの原因も入力箇所のずれや関数破壊など様々で解決に時間がかかることも少なくありませんでしたが、そうした非効率も解消されました。

その他に「DIGGLE」導入で良かった点や効果を感じていただけている点があれば教えてください。

三浦:過去のデータとの比較が簡単にできる点がすごく良いです。エクセルでもできなくはないことだと思うのですが、比較用のシートを作るだけで時間がかかるので、実際行うにはハードルが高かったです。それに対し「DIGGLE」は比較したいバージョンを選ぶだけでデータを並べて見れて、かつ差分も自動で出てくるので、「前々期、前期、今期の比較をしたい」と思ったらその場ですぐにできます。

また、配賦も「DIGGLE」で完結できるようになったので、大きな工数削減にもなりました。以前は、共通費など配賦が必要なものをエクセルにまとめ、OBIC7に取り込めるファイルに変換してから取り込み、配賦処理をして、配賦後のデータをまたダウンロードしてマクロで取り込むという作業を行っていて大変だったのですが、今は「DIGGLE」だけで完結できるようになりました。例えば、所属社員数の比率などに合わせて配賦比率が変わることもあると思うのですが、DIGGLEのカスタマーサクセス担当者に実装の仕方など適切にサポートいただけたおかげで実装ができました。

宮嶋:以前までは予実差異が大きい箇所の要因を知るためには、その中身を経理担当者に都度確認しないといけなかったのですが、「DIGGLE」だと実績データをそのままアップロードしていて、「DIGGLE」上で仕訳ベースまで遡れるようになっているので、自分ですぐに実績の中身の確認までできるようになりました。経理側含め、お互いのコミュニケーションコストの削減にも繋がっています。

今後の期待

比較軸が3軸よりも増えてほしい

最後に、今後のご要望やご期待いただける点をお聞きかせください。

三浦:過去のデータをより長期間で比較できるともっと使い勝手が良くなると思います。現状、比較できる軸の数は3つまでですが、例えば5軸などに増えると5期分の比較など、より長期での比較がしやすくなるので嬉しいです(※2)。

※2:2024年6月のアップデートにより、比較対象データの上限が4つに増加しました。