事業部主体の損益管理を実現し、「事業別EBITDA連動の賞与制度」も適切な配賦により実践

事業部主体の損益管理を実現し、「事業別EBITDA連動の賞与制度」も適切な配賦により実践

導入背景

  • 事業別損益の着地見込をタイムリーに把握できていなかった
  • 差異分析〜改善アクションを事業部と回していくにあたり、エクセルによる予実管理では機動力を担保できなかった

選定理由

  • 社内での運用やメンテナンス面で属人化リスクが相対的に低い
  • 経営企画だけでなく、現場部門メンバーでも使いやすいシステムUI

活用効果

  • 予実集計・差異分析にかかる工数を50%削減
  • 事業部主体での損益管理体制を実現
  • 適切な多段階配賦の実装により、事業別EBITDAでの業績評価に基づいた賞与制度を施行

株式会社JTOWERは、屋内外の通信設備を複数の携帯キャリアで共同利用するインフラシェアリングビジネスを展開している企業です。一件あたりの投資額が大きく、工事の進捗や契約内容によって予実が変動しやすい事業特性を持つ一方、同業他社の参入や新たなネットワーク整備ニーズへの対応など事業環境が変化し、より精度の高い投資判断と予算管理が求められています。

同社では、事業の現場状況を最も把握している各部門責任者がボトムアップで自ら予算を作成し、責任を持って管理する体制を実現するために、予実管理クラウド「Diggle(ディグル)」をご活用いただいています。この記事では、Diggle導入までの経緯や実際にどうご活用されているか等について、同社経営企画部 課長の金子さんと、同部の佐伯さん(以下、敬称略)にお話を伺いました。

導入背景

「事業部主体の損益管理体制」実現に、エクセル/スプレッドシートでは限界だった

はじめに、貴社の事業モデルと市場環境について教えてください。

金子:当社は、スタジアムやショッピングモールなど大型施設内の通信設備や、屋外に設置される通信鉄塔を複数の携帯キャリアで共用する「インフラシェアリング」を手掛けています。従来、携帯キャリア各社が別々に整備していたネットワーク設備を当社では共用化することが可能です。当社が設備を一括で構築することで、携帯キャリアが単独で整備を行うよりも、設備や運用・保守にかかるコストが削減できるため、より効率的なネットワーク整備が実現できます。

一度導入すると滅多なことがない限り解約されることがないソリューションのため、新規で建てられる商業施設など、未導入施設のカバレッジをどれだけのスピードで埋めていけるかが重要な事業モデルです。

先行者利益が際立つ事業モデルなのですね。そうした事業を支える経営企画部の体制と、お二人の役割についてお聞かせください。

金子:現在「経営企画部」としては、部長を含め約10名います。私と佐伯が所属する経営企画課のほか、中核となる国内のIBS(In-Building Solution)事業を担当する「事業推進1課」、タワーシェアリング事業・海外事業を担当する「事業推進2課」、プライシング設計などを担う「料金企画課」の4つの課で構成されています。もともとは経営企画と事業企画が別組織でしたが、統合して今の体制になりました。

経営企画課では、実績の取り込み・集計や予実差異の分析、フォーキャストの精度を高めるためのあらゆる取り組みを担っています。月の6割ほどを予実管理業務に充て、残り4割は社長直轄プロジェクトや各種タスクフォースの推進などスポット業務に携わっています。

佐伯:私はこれまで金子が一人で取りまとめていた予実管理業務を引き継ぎ、金子が予算管理やタスクフォースなどへより多くの時間を充てられるように動いています。

経営企画と事業企画との統合ですが、どういった背景があったのでしょうか。

金子:部門別の損益管理が十分にできていなかったことが大きな理由です。当時は、一部の部署を除いて経営企画部が全事業を取り纏めて予算を作っていたのですが、そこに課題がありました。当たり前ですが、事業の現場感を一番理解しているのは各事業部です。案件の進捗やコストの変動など、現場でしか把握できない情報が多く、経営企画だけで予算作成や見込管理を行うと、どうしても実態とのずれが生じ、予実差が大きくなっていました。

また、予実の差異に対して、現場の事業部メンバーからすれば「自分たちで立てた予算数字でもないし」という心情は少なからずあったと思います。そのためか、「この予実ギャップを埋めるためのアクションプランを誰が推進するのか」等が曖昧になっていた気がします。ただ先ほども触れたように、当社は案件単価が大きい事業モデルのため、売上もコストも予実差異が与えるインパクトは大きくなります。そのため、現場の事業部が主体性を持って予算作成や見込管理を行うことを目指し、事業企画の機能も統合して現在の経営企画部を組成しました。

そういった背景があったのですね。予実管理の実務作業は当時エクセルだったと聞いていますが、組織再編と併せてエクセルではなく「予実管理システム」を検討された背景を教えてください。

金子:エクセルでの予実管理は、複数のファイルを参照しながら目視で確認していく部分がどうしても多く、過去の実績や別バージョンの予算と複数のシートと比較する場面では「どの数字がどれだっけ?」となりがちで、数字の集計や分析において非効率を感じていました。結果として、生じている予実差の背景・原因を事業部の担当者と丁寧にすり合わせたり、改善のための打ち手を深く議論する時間を捻出しきれていませんでした。

この管理構造を変えていかないと、集計・分析からアクションまでの機動力を担保できず、「事業部主体の損益管理」の実現も難しいと考えました。

当初は、スプレッドシートで予算IDを活用した運用ができないかと検討していました。しかし、運用を具体的に検討する中で自社のIT企画部にも相談したところ「メンテナンス性などの面で、スプレッドシートでの中長期的な運用は好ましくない」という結論になり、予実管理システムの導入を検討することになりました。「事業部主体の損益管理」は経営層の意向でもあったので、専用システムを導入するという判断は比較的スムーズでした。

選定理由

経営企画だけでなく、現場部門にとっても使いやすいことが決め手

他社も比較されたとのことですが、最終的にDiggleを選ばれた決め手は何でしたか。

金子:Diggleを含めもう1社と比較検討しました。検討していたもう1社は「経営企画の作業が楽になる」ことを打ち出していましたが、当社は、各部門が主体となって予算作成・見込管理する運用を目指していたため、経営企画だけでなく、現場担当者にとっても使いやすいシステムを求めていました。その点、Diggleは「事業部主体の予実管理体制」を目指す思想で開発されており、システムUIも予実管理にあまり馴染みのない社員にとって理解しやすく、現場部門にとっても使いやすいと感じました。

また、これまで「予算を決めて落とす/見込・実績を報告する」という上下のコミュニケーションになっていたところから、「共通の画面を見ながら会話する」という横並びのコミュニケーションへスタイルが変わっていくイメージを持てました。

開発思想やUIが合っていたとのことですが、機能面など、他の選定ポイントもあれば教えてください。

金子:当社では「freee」や「バクラク」を利用していたため、既存の業務フローに組み込めるかどうかは重要なポイントでしたね。その点を機能面でクリアしていたこともそうですが、ただの「システム連携できます」という回答だけでなく、他社様事例を踏まえながら、当社に合った運用方法や予算ID活用方法について具体的に提案していただきました。そうした一連を通して、実際の運用をイメージしながら導入を検討できたことは大きかったです。管理会計の運用上でありがちな課題点を解像度高く理解されている方々がいらっしゃるのだと、安心感に繋がりました。

活用効果

部門別の損益管理が可能になり、多段階配賦を活用して人事制度にEBITDAを活用

導入当時の課題として挙げられていた「事業部主体の損益管理」は、どのように変わりましたか。

金子:現在は、事業部門別にタイムリーな損益管理ができるようになりました。また、以前は出張費などの販管費も丸めて管理していましたが、現在は部門ごとに科目ごとの予算IDを持たせて管理し、予実差異を説明していただき、時期ズレや未使用の予算をアロケーションしてもらう運用へ変わりました。その結果、これまで見えにくかった現場レベルでのコスト調整がタイムリーに把握できるようになり、より精緻なフォーキャスト管理ができるようになっています。

社内でのコミュニケーションの取り方に変化はありましたか。

金子:社長と副社長も参加する月次予算会議という会議体が新設されました。事業本部長のレイヤーを超えて、その配下の部長陣に予実とその背景を報告してもらっています。そのため、現場で各機能を持つ部単位で予実進捗や打ち手について議論する機会が増えました。経営層が各部の現場粒度まで状況を把握し、その場でアクションが意思決定されていくので、事業の改善サイクルはスピード感が増しているように感じます。

また、会議体の中で「この予算が必要です」「この予算は使わなくなったのでリリースします」といった判断や共有がされるようになり、経営企画側で必要な部門へ予算を再配分できるようになったことも大きな変化です。 こうした一連の営みを通じて、各部門での予実管理意識が高まってきているとも感じています。

佐伯: 事業部との同期は事業推進1課と2課が主となり、社内のSlackでは日常的なコミュニケーションの中で「予算IDを発行してください」「ここを修正してください」といったやり取りが行われています。そうしたやり取りを通じて、事業部と企画・管理部門とで全社経営管理の目線が徐々に合うようになっていっていると感じます。

金子: 加えて、経営層への報告粒度も大きく変わりましたね。以前は勘定科目単位での報告が中心でしたが、現在は月次予算会議で予算ID単位まで報告しています。現場のKPIや着地見込も含めて、より詳細な状況を経営層へ報告できるようになりました。会議体の中でタイムリーに各粒度の見込数字を確認できるようになったことで、経営層から部長陣へ確認や示唆だしが適宜できるようになり、全社としてのマネジメント強度向上につながっています。

Diggleの差異分析機能は導入当初からご活用いただいていますが、使い勝手はいかがでしょうか。

金子:以前は勘定科目単位でしか予実管理ができなかったため、「この1,000万円の内訳は何だろう」「どこで差異が発生しているのだろう」と、エクセルで複数ファイルをドリルダウンしながら確認する必要があり、かなり時間がかかっていました。現在はDiggle上ですぐに確認できるようになっています。

また、以前は「何月に計上するか分からないので、とりあえず12等分に均して按分する」といった予算の立て方もありましたが、Diggle利用を通して各部門の予算意識も高まり「実態に沿わせて予算の立て方はこうしよう」といった議論ができるようになりました。予実管理の精度も徐々に高まってきています。

分析にかかる工数は、導入前と比べてどのくらい変わりましたか。

金子:予実差の原因を確認・分析する時間は半分くらいになりました。以前はエクセルを細かく見ながら原因を確認していましたが、今はDiggle上ですぐに差異を確認できるため、約3時間の工数を削減できていますね。

当社では、決算後の分析を1営業日で終える必要があります。以前は3人体制でも深夜まで作業することもありました。その頃と比べると、差異のボトルネック箇所をすぐに特定できる現在の仕組みはとてもありがたいです。

佐伯:途中から経営企画課へ参画してきた私の視点でいうと、一般的に、予実管理の業務はどこのエクセルに何のデータがあるのかを探り当てながら集計・分析していく必要がある理解でいました。それに対して、当社の現在の予実管理体制では必要な数字情報を手元で一元的に確認できるため、私のように新任の担当者でも業務を引き継ぎやすいと感じています。

予実管理業務は属人化しがちなので、重要な点ですよね。話は変わりますが、EBITDAを賞与評価に活用されていると伺いました。この人事制度の実装には、Diggleの多段階配賦機能を活用されているのでしょうか。

金子:はい、おっしゃる通りです。当社は事業特性上、設備投資が先行するため、営業利益ではなくEBITDAを重視しています。

財務数字から現場粒度の数字まで、配賦ロジックを通して精緻かつタイムリーに管理できているのがDiggle上の数値になるため、賞与評価の基準として活用しています。Diggle上に入力された着地見込の数字が賞与の支給判定にも影響するため、各部門ともにしっかり見込更新してくれていますね。

佐伯:自分たちが扱っている数字が賞与や給与につながるため、経営企画の仕事がお金に直結していることを実感しています。私たちは直接利益を生み出す部門ではありませんが、正しく数字を管理することが、事業部への還元にもつながっていると考えています。

Diggle活用を通しての副次的な効果があれば教えてください。

金子:一番大きかったのは、想像以上にコミュニケーションツールとして機能したことです。以前はエクセルをSlackで送り、「いつまでに提出してください」といった事務的なやり取りが中心で、財務数字の実差について事業部メンバーに説明や確認をしても、うまく伝わらないことが多々ありました。

佐伯:現在はDiggle上で特定の科目起点で差分や背景のやり取りができ、コメントの履歴も残るため、各部門とのコミュニケーションがスムーズになりました。これまであまり会話する機会がなかった部長陣とも、日常的にコミュニケーションを取るようになってきています。

金子:経営層も部長陣も、全員が同じ画面を見ながら会話できるようになったことも大きいですね。月次予算会議ではDiggleで作成したレポートをそのまま資料として活用しており、経営状況を会話する際の共通言語基盤になりました。

また、賞与基準にも活用している多段階配賦のロジックについては、当初「ここまで細かく管理するのは大変」という声も正直あったのですが、Diggleでのロジック実装を通して現在では運用に乗っており、適切な配賦を通した予実管理の重要性は全社的にも浸透してきていると感じます。

最後に、今後Diggleに期待することがあればお聞かせください。

金子:AIを活用した機能には期待しています。例えば、予実差異のコメントをAIが自動でドラフト作文してくれるようになれば、事業部側の負担も大きく減ると思います。

まさに今、そういったAI機能のご提案を始めているので、別途ご案内させていただきますね。本日はありがとうございました。

<補足>

事業部の文脈を踏まえた経営レポート作成をサポートする「AIコメント」機能については、以下プレスリリースをご参照ください。

https://corp.diggle.jp/news/20260908-1

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